英雄と佩刀 竹中半兵衛の元重刀
重治が舅安藤伊賀守は三萬石計りの領主で塀も一千二三百余り持て居る、重治まづ密かに安藤へ相談したところ、このひとも龍興には愛想をつかして居るところだから、それは面白い合図次第手伝いをしやうと快く承諾した、重治喜んで服心の者を稲葉山の城へ遣り、吾(わが)弟旧作に謀(はかりごと)を授け様々に致す様にと言い含めた、旧作其夜に俄に病気になり翌日は重体に陥ったと云ふので兄重治へ其報知が来たから看病の為に屈強の勇士五人城中へ送って翌日は夜具など送る、人足五六人これも勇士を変装させて城へやる、また次の日も五六人やつた、もう是で十分と思つた頃、重治は腹巻きの上へ登城の時の衣服を着し、虎御前と号した備前元重の名刀貳尺四寸あるを帯び、竹中善左衛門外(ほか)二三人供に連れて稲葉山の城へ登つた、実に大胆不敵の侍である。
*この項目は絵空さんから情報提供いただきました。